1月8日 炊き出しボランティア日記

今回初めてTENOHASIのボランティアに参加させていただきました。年が明けて新型コロナウイルスのオミクロン株が流行し、東京でも感染者が増える中での参加でした。炊き出しの会場に行く前に、別の場所に集合し清野さんの講義を受けるのですが、その前に体温チェックがあり、体温計をおでこに当ててピっという音が鳴るときにすごくドキドキして、部屋も緊張感に包まれていた気がしました。その時改めてコロナ禍での炊き出しなのだと実感しました。


清野さんのレクチャーでは、ハウジングファーストの取り組みが特に印象に残っています。アメリカが発端の活動で、まずは安心できる住まいをもち、そこから支援者が支えながら仕事を見つけて、最終的には自分で住居を持てるようにしていくというものでした。日本には、無料定額宿泊所という生活困窮者向けの宿泊所はあるものの、貧困ビジネスも入り混じっており、生活保護費を受給してもほとんどがかっさられてしまうというのが現状です。けれど政府が主体で住居を持たない人に対する住む場所の提供というのは実現されていません。TENOHASIさんをはじめ、他の団体が結束し、このハウジングファーストを日本でも当たり前にしていこうと試験的に取り組んでいました。民間団体が結束し、先陣を切って日本の在り方を変えていく姿勢に学ぶべきところがあるなと感じました。


さて、炊き出しの会場に着くと、コスプレーヤーの方々で賑わっており、撮影会で盛り上がっていました。公園の一角では夕方から始まる衣類配布の準備や鍼灸マッサージが行われていたり、相談場所等の会場設営の準備が始まっていました。私たち初回メンバーは、先輩ボランティアさんから指示をもらい、450個分のトマトやみかん、クッキーや野菜ジュース等の詰め合わせを作りました。泡石鹸で手を洗い消毒をしたうえで、ビニール手袋をして作業をしました。感染対策が徹底しているなと改めて感じました。夕方になり、衣類配布が始まるとコスプレーヤーの方々がいた場所も会場に訪れた人々が並ぶ場所へと変わっていきました。私はマフラーや手袋などの小物コーナーを担当させていただきました。先輩ボランティアさんは、接し方が丁寧で、分かり易い陳列の仕方をされていたり、隣で学ばせていただくことが多くありました。感じたこととして、サイズの種類があることが大事なのだなと思いました。男性や女性でサイズ感も変わるので、どのサイズを探していますか?と聞きながら、在庫から探しますが、色や形がしっくりこないこともあり、ここは難しい所だなと感じました。身に着けていくものだからこそ似合うものでサイズが合うものを見つけるのはなかなかできないのだなと感じました。


衣類配布が終わると今度はお弁当配布の準備に移り、450個分のお弁当の到着を待つ間、会場の列は長蛇の列になっていました。外はすでに真っ暗で、夕方よりも冷え込んでいきました。お弁当は予定よりも早く到着したようで、18時ぴったりに配布が開始されました。揚げ物ときんぴらと卵焼き等が入ったお弁当と果物などの詰め合わせを手渡ししていきました。高齢の方以外にも30代から50代の方や女性や学生なども見られました。様々な年代の方が並ばれており、また列は途切れる気配がなく、450個分のお弁当もすべてなくなってしまうような勢いでした。多くの人が夕方から冷え込む夜までこの会場で並ばれていると考えた時、せめて笑顔で挨拶しながら渡していきたいと思いました。お弁当を渡した時の表情や“どうもね”という声は忘れられないです。今回の炊き出しで用意した450個分のお弁当や果物等の詰め合わせはほぼ完売でした。正直、450個用意していると聞いて、ほんとに全部なくなるのだろうかと疑問に思っていましたが、すべてなくなっているテーブルを見て、「ああ、こんなにも多くの人が必要としているのか」と感じ、現実を目の当たりにした気持ちでした。


これから大学三年生になり、将来のことについても考えていく中で今回のボランティアでの体験は、コロナ禍の状況の中に置かれている生活困窮の深刻さやこれからの日本の生活困窮に対する支援の在り方について考えさせると同時に、人と人が繋がっていく場の不思議なあたたかさのようなものを感じました。ボランティアをしてみて気付かされることや学びが多くあると思うので、興味がある人はぜひ一歩踏み出してみるといいと思います。今回は貴重な機会に参加させていただきありがとうございました。 A.T




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