炊き出し利用者アンケート 結果報告

2024.9.22 特定非営利活動法人TENOHASI 清野賢司

目的 コロナ禍が終わっても高止まりする炊き出し利用者はどのような境遇でどんな困りごとを抱えているかを探る。

日時 2024年3月23日土 16:30~18:30

場所 東池袋中央公園

調査員  応募したボランティア46人 

当日の炊き出し利用者 518人

回答者   245人

回答率    47%

調査方法 アンケート

調査員 45人

記入方法 選択式:自分で記入する・調査員が聞き取って記入する

回答者への謝礼 なし

1.性別

男性が90%、女性が10%。それ以外と回答した人は居なかった。

 ↓

・これは普段の炊き出しの印象と同じで予想通り。

・コロナ前は1~2%程度だったのでかなり増えたが、それでも10%に留まる。

 生活困窮者支援の炊き出しで共通の現象でもある。

*連携団体の運営特定非営利活動法人トイミッケ・一般社団法人つくろい東京ファンドが運営する「せかいビバーク」(家を失った人が東京と近県の提携商店等に置かれた「緊急お助けパック」を受け取り今夜の宿と食糧を得て、支援につながる)でも男性が85%、女性が15%と、男性が圧倒的なのは同じ。

・女性が困窮しないはずはないが、なぜ男性よりも炊き出しに来られる人数が少ないのか、はっきりとした理由はわからない。

考えられることとしては・・・

1,男性中心のTENOHASIの炊き出しには並びづらい。

2,貧困女性は、性産業や家庭内に封じ込められて見えづらくなっている。

*主に女性を想定した「並ぶのが難しい人コーナー」を作っているが、特別扱いはいらないなどの理由で女性の利用はさほど多くない。

男性の年齢層

・年齢層は50.60.70代が約4分の1ずつ。

・40代以下は20%。

・80代が5%

*60代はその半分が65歳以上と考えると約43%が高齢者であった。

・やはり50代~70代の「おっちゃん」層が中心。

・これは従来の路上生活者支援の炊き出しと同じ。土木建築などの非正規労働で働いてきた人がこの年代になると体力が衰え、けがや腰痛/高血圧などの病気に悩まされ、雇ってくれるところも減って、労働市場からはじき出される。生活保護を受けても受け取れるのは最低生活費。さらに生活保護だけは受けたくないと、生活保護水準以下で生活する人も多い。そこに物価高が追い打ちを掛けて、多くの人が困窮して炊き出しに並ぶのだろうと推測される。

*「せかいビバーク」の2024年8月時点での直近144人の利用者の年齢層はTENOHASIとは正反対で20.30.40代がそれぞれ約4分の1ずつ.50代以上が4分の1となっている(トイミッケ佐々木大志郎さんより)。

若年の不安定就労層はせかいビバークで急場をしのぐが、炊き出しはあまり利用せず、中高年の困窮者は炊き出しに並ぶが、せかいビバークには来ない。

・しかし、炊き出しに並ぶ中高年も若い頃は職を転々としながらどうにかつないで来た人が多い。

仕事が途切れたときだけ世界ビバークを利用する人も、年齢が上がって仕事が減ってきたら炊き出しに並ぶと言うことは十分に考えられるだろう。

・それはちょうどかつて山谷などの「寄せ場」にあふれていた日雇い労働者が若い頃はばりばり働いて、時たま仕事が途切れたときは野宿していたが、高齢になって雇ってもらえなくなると路上生活に、さらに生活保護を利用するに至ったのと同じ構造のように思える。

貧困の形は変わっても、貧困層が絶え間なく再生産されていることは変わっていない。

20代の利用者について

 6人全員(全員男性)のプロフィール

いつから来ているか住まい生活の状況希望など生活保護
今日が初めて豊島区のシェアハウスアルバイト 月収は不明記入なし受けたことがない
今日が初めて路上や友人の家・山手線仕事を探しているが身分証がない親とは絶縁・仕事探しと身分証を支援してほしい受けたことがない
コロナが五類になってから自分の家アルバイト 月収15万円毎週やってほしい受けたことがない
コロナが五類になってから板橋区のシェアハウス仕分けの派遣社員 月収6万円毎週やってほしい収入を上げてほしい受けたことがない
コロナが五類になってから練馬区の家月収14万円支援がもっと欲しい受けたことがない
コロナが五類になってから豊島区の家族の家障害がある・訪問看護が来ている手続きが通りやすくしてほしい受けたことがない

*20代の相談者は増えており、今年度も複数の20代男性がシェルターを利用された。

若者支援のサンカクシャは相談が殺到していると聞く。

*若者が家庭の貧困、障害などのいきづらさを抱え、不安定な仕事に従事しながら、炊き出しに並んでいることが推測できる。

女性の年齢層

・女性は全員が40代~80代で30代以下の若年はいなかった。

*ただ、他の日には若年層と見られる女性を見かけることもある。継続して並ぶ人は少ない。

国籍

国籍についての質問は設けなかったので不明。

言葉から中国などアジア系と思われる方は一定程度居る。

外見から外国ルーツと思われる方はほとんどいない。

初めて炊き出しに来た時期

・コロナ禍になって炊き出しに並ぶ人が3倍以上になり(2019年度平均166人→2023年度平均530人)、2024年度も高止まりしている。

・初めて炊き出しに来た時期は

 コロナ前(2019年より前)から                              34%

 コロナの最中 (2020~2023年4月)                           33%

 コロナが5類になってから(2023年5月~2024年3月)33%

で、ほぼ3分の1ずつだった。

*今日が初めてという人が7人も居た。

・2023年5月にコロナが5類になっても高止まりしているが、5類以降に初めて来た人がこれほど多いとは予想していなかった。特に20代は全員5類になってからだった。

・コロナが5類になってから来た人が3分の1を占めると言っても、全体の人数はさほど増えていないので、来なくなった人が同じくらい居るはずだ。人は常に入れ替わっている。

*どんなときに来ていますか、と言う質問に対して「仕事の関係で池袋に近い時に立ち寄っている 50代男性」「腰が弱く軽作業(検品)をしているため時給が良くなく、生活が苦しくなったときに来る 50代男性」など、近くまで来たときや、特に困ったときだけ利用する人もいる。次の給料・年金・保護費が入るまで一時的に食費なくて炊き出しに来たというスポット的な利用者は生活がうまく回るようになれば来なくなるだろう。毎回来ていた人も、仕事が見つかった、元気になって生活を立て直した、生活保護を受けたなど積極的な理由で来なくなることもあれば、病気や他の利用者とのトラブルで来られなくなったなどネガティブな理由で来なくなった人もいるだろうと思われる。

初めて炊き出しに来た時期と年代

・コロナ前から来ている55人は全員が60代以上だった。

・コロナの最中に来た70人は30~80代まで幅広い年代で、50代・60代が多い。

・コロナが5類になってから来た69人は20~80代まですべての年代が含まれ、とくに20代は全員この時期。

・コロナ禍で30~50代が増えて、5類になってから20代も並ぶようになった。

*ただし、20代と見える方は5類になる前もいらしたので、若い人は長期化しないのかも知れない。

*今日が初めてという人のプロフィール 5人分

年代性別住まい困り事生活保護仕事 その他
40代男性足立区の自分の家お金と食事と仕事月収0受けていない貯金で生活
20代男性豊島区のシェアハウスお金と食事と仕事と役所回答なし受けていない
40代男性板橋区の家族の家月収20万受けていない工場勤務
50代男性新宿区で野宿回答なし受けていない仕事を探し中
70代女性豊島区の自分の家収入が少ない。病気が心配回答なし受けていない年金あり

炊き出しに来た動機(複数回答)

・複数回答だが、ほとんどの人が収入が少ない・食費の節約など経済的理由を挙げた。

・知り合いに会える・お弁当がおいしい・相談できるなど経済的以外の理由だけを答えた人は10人だけだった。

炊き出しに来る頻度

この質問に回答した人のうちで「毎回」が62%。

「ときどき」「月に1回くらい」が19%ずつで、行くのは「生活保護のお金がなくなる月の後半だけ」「天気のいいとき」「体調のいいとき」「第2土曜日は老人ホームで食事の配膳の手伝いなどのボランティアをしているので第4土曜日だけ」など経済・天候・体調・用事など様々な理由の答えがあった。

住まいがあるか、どんな住まいか。

・70%は住まいがある(自分の家64%・家族の家6%)人だった。

・30%は安定した住まいがない(路上14%・ネットカフェ4%・友達や知り合いの家に居候4%・施設・シェアハウスなど)人だった。

・コロナ禍中に取ったワクチンのアンケートでも3分の2は家があると答えているので、この割合は予想通りだった。

・家はあっても、家賃を払い、高騰する電気ガス代を払い、携帯代を払い、税金・社会保険料を払い(滞納している人も多いが)、残りを食費に充てようとしてもこの物価高となれば、余裕はなく、やむなく炊き出しに来たということだろう。TENOHASIが支援してきた「路上生活者=目に見える困窮者」だけでなく、見えにくい困窮者が炊き出しに来ていて、そこにどんな支援が必要かを考えていくことがこれからの課題になる。

・路上生活者の数は予想以上だった。路上生活者は全国的に減少傾向にあり、豊島区でも30人程度(都の路上生活者概数調査2024年1月では27人)である。しかしアンケート回答者の14%(34人)が路上と答えたので豊島区全体よりも多い。生活している地区は豊島区と新宿区が12人ずつ、台東区11人、足立区9人、墨田区7人、渋谷区5人、北区と荒川区4人、文京区3人、三鷹市と江東区と港区2人、品川区と世田谷区とさいたま市大宮区と江戸川区と葛飾区と荒川区1人だった。じつに広範囲から路上生活者が集まっている。

*ただし、路上生活をしている人は常に流動して入れ替わっており、就労したり生活保護を受けて路上から脱することもあれば、人間関係やメンタル・病気や失業で家を失って再び路上生活になる人もいる。路上生活者を再生産する負のループを絶つことが今のTENOHASIの主要な課題となっていて、これはいつか別に論じたい。

生活保護は受けていますか
ふだんどんなところに寝泊まりしていますか受けている前に受けていた受けたことがない合計 
自分の家9081.1%928.1%5056.8%149
家族の家43.6%39.4%89.1%15
グループホーム0.0%0.0%11.1%1
安定居住率84.7%37.5%67.0%
路上や駅や公園32.7%1443.8%1618.2%33
ネットカフェ等10.9%39.4%11.1%5
ドヤ(簡易旅館)54.5%0.0%11.1%6
ともだちや知り合いの家10.9%26.3%66.8%9
施設65.4%13.1%11.1%8
会社の寮0.0%0.0%11.1%1
シェアハウス10.9%0.0%33.4%4
15.3%62.5%33.0%
合計1113288231

生活保護を受けている人は安定居住率が85%で一番高いが、不安定居住率も15%ある。

生活保護を前に受けていた人は安定居住率が37%しかなく、不安定居住率が63%で一番高く路上率も高い。最も困難を抱えている層。

生活保護を受けたことがない人はその中間。安定居住率が67%、不安定居住率が37%

住まいと年代と路上生活者

・30代以上は自分または家族の家に住む人が60~80%で大差はない。

・20代は、安定した住まいがない人が50%(3人)で一番多い。 

・路上生活者は20~80代まですべての年代にいて、60代70代が15%(9人ずつ)で一番多い。

女性の住まい

家族の家2
自分の家21安定率0.821428571
路上や駅や公園2
ネットカフェ等2
会社の寮1不安定率0.178571429

・安定居住率は82%で男性よりも若干高い。しかし路上やネットカフェなど不安定居住の人が5人いる。

住んでいる(寝泊まりしている)地域

・これは予想外だった。とても広範な地域から来ている。

・豊島区は27%で4分の1。

・隣接する区は37%(新宿区16%・板橋区10%・練馬区8%・中野区3%)で、豊島区と併せて64%。

・上記以外の23区が32%(台東区11人・足立区9人・墨田区7人・渋谷区5人など)

・また23区以外が4%(千葉県4人・多摩地区3人・埼玉県2人)

女性の住む地域

・豊島区9人、練馬区・新宿区・板橋区が2人ずつ、荒川区・北区・江東区・港区が1人ずつで男性と比べて特に大きな際はなかった。

・交通費で赤字になるような遠方からきている人もいた。コスパ悪すぎないか?と思うが・・・

都内の生活保護利用者や障害者・高齢者は都営交通やバスの無料パスを使っていると思われる。

・「川口から歩いてきているのでお弁当配布が18時で締め切られるのが辛い」(埼玉・40代・路上)、「障害年金をもらいながら認知症の母の介護をしている」(千葉・40代・家族の家)など、それぞれ切実な動機を抱えた人が遠方から来られている。

・地元で支援があれば池袋まで来る必要はないから、各地域で実施してほしいと思う。

他の炊き出しなどに行っているか

・とは言ってもTENOHASIしか利用していないと答えた人は25%。他の団体の炊き出しも利用している人が75%だった。 

*TENOHASIしか利用していない人は豊島区39%・板橋区30%が高い。

*逆に低いのは中野区0%・練馬区17%・その他の区18%・新宿区19%など。これらの地区は新宿・渋谷・上野の炊き出しなどに行きやすいためだろう。

くらし向きはどうですか

・苦しい67%、まあまあ31%、ゆとりがある1%(3人)。

・まあまあと答えた人が予想より多かった。炊き出しがあるからまあまあなのか、貧困が常態化しているので苦しいとは思わないのか、はたまた客観的に見ても貧困LINE以上の生活ができているのかはこの後の分析で考えたい。

生活保護を受けていますか

・受けている48% 受けたことがない39% 前に受けていた13%

  ↓

ちょうど半数が生活保護を受けている。予想よりも少なかった。

・保護を受けている人も、物価高で保護費だけでは生活が苦しい、元々お金のやりくりが不得意で保護で支給される最低生活費だけではうまく生活できない、生活にゆとりを持たせるために少しでも食費を節約したい、などの理由から炊き出しに来られていると考えられる。

・受けたことがない人も、多くは生活保護水準以下の収入しかない(後述)。

・前に受けていた=保護を廃止にした人は、就労や年金収入が増えて幸福に廃止になった人と、生活保護では救われずに生活保護水準以下の生活をしている人の両方がいるが、後者の方が多い(後述)。

生活保護と年代

・20代は誰も保護を受けていない。

・30代40代と80代で保護を受けている人は約30%で少ない。前に受けていた人は10~17%。半分は生活保護を受けたことがない。

・50代~70代は生活保護を受けている人が約55%。前に受けていた人は10%程度いる。

男女別生活保護利用状況

男性

受けている 前に受けていた 受けたことがない 合計 利用率%

全体 101 30 79 210 48.1%

80代 4 2 4 10 40.0%

70代 33 7 17 57 57.9%

60代 31 7 17 55 56.4%

50代 26 8 15 49 53.1%

40代 4 5 14 23 17.4%

30代 3 1 6 10 30.0%

20代 6 6 0.0%

女性

受けている 前に受けていた 受けたことがない 合計 利用率%

全体 12 0 12 24 50.0%

80代 0 0 3 3 0.0%

70代 1 0 3 4 25.0%

60代 3 0 4 7 42.9%

50代 3 0 2 5 60.0%

40代 5 0 5 100.0%

・女性の生活保護利用率は50%で、40代(5人)が全員、50代(5人)が60%と若年層が高く高齢になるほど利用率が下がるのが特徴である。

生活保護と住まい

・生活保護を受けている人は自分か家族の家が84%。ドヤ・施設・ネカフェ・路上など不安定居住の人が16%いた。

・生活保護を受けたことがない人で自分か家族の家が62.4%。ドヤ・施設・ネカフェ・路上など不安定居住の人が36%で、保護を受けている人より倍以上が不安定居住となっている。中でも路上の人が17%で「保護を受けずに頑張っちゃっている路上の人」がいることがわかる。

・生活保護を前に受けていた人は、自分か家族の家が38%で最も低く、ドヤ・施設・ネカフェ・路上など不安定な住まいの人が63%で、突出して多い。

生活保護を受けてた人が就労や年金受給などで安定した生活を営めるようになって保護から脱するのがあるべき姿であるが、逆に最も多くの困難を抱えている。

TENOHASIに相談に来られる方も、最近は生活保護をうけたことがある人が大多数で、受けたことがない人は少数派だ。それぞれが抱えている事情はそれぞれだと思われるが、生活保護行政も支援団体もこれらの人のニーズを掬い取れていない面が大きい。

「生活保護を受けている」人のプロフィール 6人

1.70代男性  渋谷区の家 10年前から。食費の節約と知り合いに会える。新宿や渋谷も上野も利用している。年金6万円。腰を手術した。やっと歩けるくらい。

2.50代女性  新宿区の家 コロナが5類になってから 収入が少ない・食費の節約 

 手帳3級保持

3.60代男性  墨田区の家 物価が上がった 食費の節約 障害がある。

4.70代男代  板橋区の家族の家 5年前から。他の支出が多いので 苦しい 相談なんかしない。年金65000円 

 *調査者の聞き取り「生活保護で国の保護を受けていることに対する負い目がある。親戚のなかで自分だけが生活保護を受け、賃貸の家にすんでいることも負い目を感じる。ホームレスで生活保護を受けずに暮らしている方は信念があると思う」

5.50代男性  新宿区の家 15年前から 段ボール手帳で月に24000円 年金無し 

 *調査者の聞き取り:中卒だからこうなっている。こんな年齢まで生きられるとおもっていなかった。

6.60代男性  台東区のドヤ 4年前から 保護費は、あと2−3万は欲しい。

「生活保護を受けたことがない」人のプロフィール 5人

1.40代男性 去年から来ている。足立の家から。病気と障害がある。年金無し。仕事:無記入。収入:「貯金を下ろす」の記述のみ。てのはしに:炊き出しの回数を増やしてほしい。国や世の中に:気楽に相談など出来るようになってほしい

2.40代男性 練馬区の家から。収入が少ない。食事に困っている。相談できる人いない。仕事探し中

3.70代女性 豊島区の家から。去年から来ている。物価が上がったから。年金50000円。

4.70代男性 豊島区で路上生活。6年前から来ている。食糧を確保したい 年金無し。くらしむきは「まあまあ」 現在の生活保護ではなく、ベーシックインカムにした方がよい。

5.60代男性 葛飾区の家から。収入が少ない・外に出るきっかけ。年金無し 派遣社員。 

「前に生活保護を受けていた」人のプロフィール 5人

1.40代男性  6年前から来ている。新宿で路上生活。障害年金がある。保護を受けていたが先月ドヤを出たタイミングで失踪扱いにされてしまった。旧知の訪問看護の人に最近困って電話したら、テノハシにまた相談してみたらと言われ、テノハシに相談した。*TENOHASIに言いたいこと:続けてくれれば救われる人が増える。色々な団体に世話になるが、てのはしができるんだからと、てのはしに比べて対応が足りないと感じることある。

2.40代男性:路上生活。日雇いと段ボール手帳で月収45000円。社会に対して「給付金が中途半端」TENOHASIに対して「今のままでいい」

3.60代男性 自分の家に住む。新宿、渋谷、上野、浅草のフードバンクも行っている。生活は苦しい。年金無し。仕事;自営業であるが、話したくない。炊き出しはありがたい。赤字かもしれないが存続してほしい。*調査員の聞き取り:アルバイトで腰を痛めて契約更新されないと思うので不安である。調理補助、警備員、清掃などがあるが、スピードが要求されるので次の仕事が不安。

4.70代男性:路上生活 政治や社会に対して「自分は言える立場にないと感じる」

5.80代男性:路上生活。「月に23000円の年金でやっている。生保はもらっていない。生保はややこしいのでいらない」

仕事と働き方 

仕事をしていると答えた人は90人で全体の38%。

男性:仕事をしていると答えた人は38%で81人。内訳は正社員8人・契約社員3人・派遣社員7人。バイト・パートが25人・日雇いが17人・段ボール手帳が15人・フリーランスと個人事業主とバイトアプリが二人ずつ。年代は30代が64%で最も高く、20代40代50代も50%前後で高く、60代以上になると下がっていく。

女性:仕事をしていると答えた人は36%で9人。内訳はバイト・パートが25人・日雇いが17人・段ボール手帳が15人・正社員契約社員派遣社員が合計3人。40代50代60代は50%前後。70代80代は0%だった。

男女とも3分の1は仕事をしている。しかし不安定雇用がほとんどである。

働き方と仕事による月収

働いた収入を答えた人は64人(0円と答えた5人を除く)。

生活保護水準を超える15万円を超えると答えたのは13人(収入を答えた人の20%、全体の5%)だけだった。

 *東京で単身者の場合、勤労控除を含めると手取り15~16万円で保護からはずれる(疾病や年金の有無などにより変化する)。

・最高は300000円(一人)。多摩地区在住の建設業正社員の60代男性で、困り事は「お金」「家族」「病気や身体」。「仕事が休みの土日」に「セカンドハーベストや教会」の炊き出しも利用していると答えている。家族や医療費で家計が苦しく、土日には炊き出しを回っていることが読み取れる。

・次は250000円(一人)。新宿区在住の製造業正社員の40代男性で、来る動機は「物価が上がった」「食費の節約」。TENOHASIに対する要望が「毎週やってほしい」。そこそこの収入はあるが物価高で炊き出しに来ている。

・15万円より下の金額を答えた人は51人で80%。10万円と答えた人が最も多く6人、次いで6万円と4万円が4人。1万円を下回る金額を答えた人も9人だった。

生活保護水準を超える勤労収入がある人はごくわずか。その人にも炊き出しが必要な事情がある。

生活保護と仕事による勤労収入 

生活保護を受けているかどうかと月収(勤労収入)の関係は・・

・生活保護を受けている114人中で月収を答えたのは19人。最高が7万円、最低が2000円で20000円前後が多かった。全員が生活保護費を下回る金額となっている。上回っていれば生活保護はいらないから当然のことだが・・

・受けたことがない93人中で月収を答えたのは35人。

 前項でも書いたが、最高が30万円。それ以下15万円までの人が10人。この人たちは生活保護基準以上の所得を得ている(単身で病気などがなければ)。

 15万円より下の人は27人。この月収では年金や家族の収入がなければ最低生活を維持することが出来ないが、そのなかで年金と合計すれば生活保護水準を上回っている人は4人しかいなかった。月収と年金を合算した金額が生活保護水準を上回っているのは14人で38%に留まる。残り62%は生活保護水準以下と思われる。

・前に受けていた30人中で月収を答えたのは10人で33%。

 15万円以上の人が3人でこの3人は就労自立したと推測される(それでも炊き出しに来ないと行けないが)。

 それ以下の7人は45000円~8円と答えており、年金を受給している人はいない。

まとめ

・生活保護を受けている人の19%が働いている。全員が生活保護基準を下回り(上回ったら保護を脱するから当たり前だが)低収入。

・生活保護を受けたことがない人の40%が働いている。

 しかしその中で給与が(と年金がある人は年金額を合算しても)生活保護水準を下回っている人が23人:62%もおり、生活保護を受けるべき人が受けられていない。

・生活保護を受けたことがある人の33%:10人が働いている。

 しかし10人の中で就労や年金収入が生活保護水準を上回って保護を廃止にしたと思われるのは4人で、収入が生活保護水準を下回っている人が6人いる。生活保護をもう一度受けるべきだが受けていない。

年金

・年金について回答したのは218人。

 受給している人は76人35%、受給していない人は142人65%。男女差はほぼない。

・受給している76人のうち、毎月の年金額を答えたのは34人。最高17万円~最低2万円 平均額70439円。

・60代以上の127人のうち受給している人は64人50%。年金がまだもらえない60代前半の人もこの中に含まれてしまうが、高齢者の半分くらいは年金を受給している。

・50代以下の88人のうち受給している人は11人13%。金額は9万円から3万円。障害年金と思われる。

高齢者の半分くらいは年金を受給しているが金額は低く、生活保護水準を上回るのは一人だけだった。

また、障害年金を受給している若年層も11人いた。

生活保護・年金・勤労収入

・生活保護を受けている人で、勤労収入と年金をダブルで得ていると答えた人は5人だけだった。勤労収入と年金の合計額は最高で11万円、平均で77200円。

・前に受けていた人で、勤労収入と年金をダブルで得ていると答えた人は1人だけ。勤労収入と年金の合計額は19500円。この方は経済的に自立したと言うことだろう。

・生活保護を受けたことがない人で、勤労収入と年金をダブルで得ていると答えた人は4人。勤労収入と年金の合計額は最高で23万円、平均で186250円。

勤労収入と年金をダブルで得ていると答えた人は全体で10人だけ、合計額が生活保護水準を上回る人は5人だけだった。

自由記述1 TENOHASIに言いたいこと

回答者42名 回答率17% 

・感謝のメッセージ

  ありがたい。赤字かもしれないが存続してほしい

  善意に触れられるのがお金に代えられない、生きていく上での支えになっている

  ここが好き。

  食から衣類までいただいてほんまありがとうございます!

・回数について

  回数を増やしてほしい

  毎週やってほしい

・炊き出しの内容について

  炊き出しの弁当が食べられずに捨てられてことがある。 ビリヤニは助かっている

  「ぶっかけ」(コロナ前まで出していた手作り汁かけごはん)に戻してほしい

・衣料配布について

  毎週にして欲しい

  もっと服を欲しい人に渡せるように。着替えないといけない人がもっといるから、

       うまく渡せるといい。

・その他

  空き家の活用してアパートに入れてもらいたい

  夏は待っている間に蚊に刺されるのが大変

  どうして赤字なのか。

  川口から歩いてくるので18時で締め切られるのが辛い

  何かしてくれれば 無縁仏になるのかな

  人が多くなったので列が乱れる 仲間を呼んで横入りがある。

  こういううちらみたいなはんしろのためにありがとうございます。今は一般の人も多い。うちらみた   いなぼんくらはくえたらいいかんしゃしている

  食パンを増やしてほしい。処方箋(皮膚の薬)がほしい。果物が食べたい。できるときだけでも。

       並んでいるときに安全に待てるようにしたい。

     (男性が年配の女性をおどかすことがあった)女性の   方を守ってほしい。

  

自由記述2 国や世の中に言いたいこと、求めたいこと

回答者42名 回答率17% 

  生活保護費もっと上げてほしい。

  今の自民党(子供や若い人に情けないなぁと感じる)

  もっとしっかりしろ。仕事が皆んなにあるように

  平等にしてほしい。・自分の意見をきちんと聞いてもらいたい。 

          自分の1票を目的に合わせて、投票できるシステムにしてほしい。

         税金を無駄遣いさせない仕組みに変えてほしい。

  炊き出しに来る人に何かすべき。国の支援がほしい。資金援助があってよい。

  いっぱいある!物価をなんとかしてほしい。政治家は確定申告をしないのは不公平。

  年金よりなぜ生保の額が多いのか分からない

  少子高齢化で病気になるとやっていけない

  年金をあげてほしい 2人

  消費税を下げてほしい。3人

  生活保護受給者や路上生活者支援をしてほしい。生活保護の受給額が低い。シングルマザーへの支援は手厚いのに不公平。(40代女性)

  手続きを通りやすくしてほしい

  できるだけ偏見で見ないでほしい。差別がある(40代男性)

  寄付金をよこせ。10万円じゃ足りない。(解散しないと出ない?)

  裏金問題、税金払ってないけど。怒っちゃう。議員削減しないと。空き家の活用

  平和で平等であってほしい

  政治資金パーティーの問題が言われているが、余裕ある金あるならあえいでる人に回せるのに

          それができる政治家がいないんだ。声をあげようとする政治家もいるけど古株に潰されているのか

         な。うちらみたいな貧乏人にお金ないのが現状だが、もっと自分たちが声をあげれば動いてくれる

         のではないか。

  人権保障を高く。社会保障を進化。

  税金が高い。日本国人が貧しくなっているのに、外国人の方の生保等おかしい

  自民党政権くたばれ!

  生活困窮者の支援をもっとして欲しい。政治家はまちがったことは認めて欲しい。

  いっぱいある!物価をなんとかしてほしい。政治家は確定申告をしないのは不公平。

  言ってもはじまらないかな?給付金を何度も出して欲しい、携帯も持てたので

  国会議員の数は多いのでは?国の政治は変わってもらいたい

  自分が悪いからあきらめている

  自分の力ではどうしようもない

  十分。贅沢言ってられない。缶コーヒーとかタバコとか。

まとめ

・利用者は50~70代の男性が中心。

・女性は10%。若年層が中心の「トイミッケ」でも同じ。女性の貧困が見えない。

・40代以下の若年層は20%。トイミッケでは逆転する。

・安定居住層が70%。家があっても炊き出しが必要な人が中心。

・豊島区だけでなく広範な地域から利用者が集まっている。

・生活保護の利用者が50%。生活保護費だけではやりくりできない

・生活保護を利用していない人でも、生活保護水準以下の収入で生活している人が多い。

・中でも、以前に生活保護を利用したことがある人の困窮度合いが高い。

・20代は6人だけだが他の世代より路上率が高く、年金や生活保護も受給していない。